蘭の花を主要モチーフとした重箱・角形酒器・銘々皿・盃なからなる提重です。金と銀、朱漆を用いた繊細な表現が目を引きます。竹文を蒔絵した外枠の下方に作者銘「古満巨柳作」があります。古満家は幕府のお抱え蒔絵師で、初代の休意は江戸城内紅葉山仏殿、二代休伯は日光東照宮の蒔絵にたずさわりました。巨柳は、五代休伯の門人で古満姓を許され、安永・天明年間(1772〜89)頃活躍した人です。古満家の特徴は時流にのった華やかさにあるといわれ、この提重にもその片鱗がうかがえます。写真は重箱の蘭文拡大図。

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