刊行物番号 |
「妙見信仰と八代」24 |
作品名 |
麁乱妙見尊像 |
作品名フリガナ |
ソランミョウケンソンゾウ |
制作年 |
江戸時代(18世紀) |
品質・技法・形状 |
紙本著色 掛幅装 |
法量 |
縦93.0 横37.8 |
作家・作品解説 |
亀蛇に乗り海を渡る妙見像である。頭上に剣を構えて敵を睨む姿は、どんな相手にも打ち勝つ強さを感じさせる。「麁乱」とは荒々しいという意味で、「獅子楽ノ由来」の伝承に見える、井櫻屋勘七が長崎沖で遭難しかけた時に出現した妙見は、このような姿と想定されていたのではなかろうか。 「麁乱妙見」とは、七変化する妙見のひとつである。『肥後地志略』(宝永六年・一七〇九)に「種々に現ずる故に七体妙見と号し、或は班足王と成り、摩醯修羅王と成り、鎮自在王、麁乱、元品無明王、倶生神、三宝荒神と変じ、上元大乙神と現ず」と記されている。 本品は、もと八代妙見宮の社僧をつとめた一乗坊に伝来したものである。麁乱妙見の画像が寺院でどのようにまつられていたのかは不明だが、天明七年(一七八七)、一乗坊良顕の代に京都で補修したという古表具の墨書からも、本品が大切に扱われてきたことがわかる。 明治の神仏分離令により一乗坊は廃寺となり、時の住職はこの一幅を持って還俗し、遠山良成と名乗った。明治九年(一八七六)、本品は信仰の篤い三浦屋蔵吉(八代町)が譲り受けた。さらに明治四十年(一九〇七)人吉の八木隆造へ、大正十四年(一九二五)には徳住巳三郎が所持するところとなり、平成二十七年(二〇一五)当館へ寄贈された。明治以降の激動期を、かつての社僧と複数の篤志家によって守り抜かれた貴重な妙見像である。
【古表具切墨書】 「麁乱妙見尊像 天明第七歳次丁未秋九月於皇都修補之 一乗坊現住 良顕謹誌」 【箱蓋裏墨書】 「抑妙見尊像之儀者一乗坊之什物也、明治年中神宮寺初同一山中御廃止之砌右一幅受持シ、帰俗/之後、同九年之秋八代町三浦屋蔵吉信仰ニ付授之/明治九年秋旧七月吉祥日/本持主/遠山良成/三浦屋蔵吉受之」 『明治四十年人吉八木隆造受之後新表装ス』 『大正十四年徳住巳三郎所持之』 (2021年秋季特別展「妙見信仰と八代」展示図録より) |
数量 |
1幅 |
備考 |
2021年「妙見信仰と八代」出品 |
分類名 |
美術 |
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