番号 |
@4523 |
作者名 |
麦島勝 |
作者名フリガナ |
ムギシママサル |
作品名 |
川を上る帆かけ舟 |
作品名フリガナ |
カワヲノボルホカケブネ |
法量 |
11.0×16.5 |
作家・作品解説 |
戦時中、卒業して八幡製鉄所の従業員となっていた私にも繰り上げ召集が来た。私の生家は町なかにあって敷地も広かったが、避難道路造りのため強制疎開となり、宮地町の妙見神社(八代宮)ちかくに移住した。その折り、消防団が蔵を壊し、蔵に所蔵されていた品などを搬出した。家族は仕事中、次弟も学徒動員で不在、それで隣町の父の従兄弟が自分の家の蔵に品々を保管してくれた。そして、そのまま忘れ去られ、半世紀以上経って私の妻に持ってきてくれた。私の妻はその人と従姉妹で、不思議な縁である。こうした縁がなければ捨てられたり燃やされたかも知れず、この写真はこうして世に出て嬉しがっていると思う。父は、昭和31年7月6日(七夕の前日)、58歳で亡くなり、その時私の長男が1歳だった。この写真の説明も聞いていない。何かの時、風を利用して帆かけ舟で、八代から球磨・人吉地方へ塩や海産物を運んでいた。凪の時は風待ちしたりしていた。球磨川の水運は下りばかりではない、と写真は語りたがっているに違いない。遥拝の瀬の上流は川幅も狭くなり、一直線、V字形の峻険な山の中を、帆かけ舟は逆流を果たす。 |
備考 |
『昭和の貌《あの頃》を撮る』P.151掲載
【昭和の貌】 4523番 |
分類名 |
川:湖:川の漁業 |
著作権 |
あり |
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