作家・作品解説 |
球磨川河口にある大鼠蔵山の麓には、箱式石棺群があり、竹製の櫛、銅鈴、貝製の腕輪などが出土しています。 腕輪は、奄美大島以南にしか生息しないサラサバティという貝で作られており、南の海で採(と)れる美しい貝の装飾品を交易品として運んだルート「貝の道」との関連性が指摘されています。 ほかに、弓や矢を入れた靱(ゆき)、短甲、円文が彫られた石棺も出土しています。 貝輪を重宝する習俗ははじめ九州・西日本で始まりましたが、古墳時代になると畿内でも貝輪の需要が高まり、奄美・沖縄などの南島で取れた貝は、九州・瀬戸内を通り、畿内へと運ばれていました。南島でとれるサラサバテイやイモガイの貝輪が大鼠蔵古墳や田川内古墳で発見されていることは、これらの古墳に埋葬されている八代地域の有力者が、南島からの貝の交易・運搬に携わっていた可能性を示しています。 |