【趣 旨】
江戸時代後期に肥後領内各地の特産品を番付けした「名物数望附」には、八代地方の名物として、八代染革、高田陶器、白嶋石、八代紙衣、八代搗剥、川俣木具膳類、八代諸紙など、多くの品目があげられています。この中で、高田焼(八代焼)や宮地手漉和紙など、現代までその伝統が受け継がれているものもありますが、多くはその存在すら知る人も少なくなっています。
本館では、八代の歴史と文化を織り成してきたこれらの工芸品について調査研究と資料の収集を進めてきましたが、その成果は「さまざまなる意匠―染韋の美―」(平成4年度)、「八代焼―伝統の技と美―」(平成12年度)、「和紙の世界―用と美の世界―」(平成15年度)などの特別展覧会の開催によって広く市民に紹介するとともに、所蔵する作品・関連史料も充実してきました。
本展覧会は、開館以来収集してきた館蔵品の中から、八代焼、染韋、搗剥、金工品、宮地手漉和紙、河俣塗など八代を代表する工芸品について、最新の研究成果を交えながら紹介するものです。市民共有の財産である館蔵品を身近に感じていただくとともに、八代で培われ、高い技術を誇った匠たちの技について関心を深める機会としていただければ幸いです。
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