■松井家のウェディング!
松井家は、肥後熊本藩の筆頭家老をつとめ、正保3年(1646)から明治3年(1870)まで八代城に在城しました。戦国時代を生き抜き、細川家を支えて肥後54万石の大大名へと成長させた松井家の政治的手腕や、千利休らとの親交に代表される茶道への深い造詣、宮本武蔵との関わり、能楽愛好など、同家の歴史的・文化的側面は広く知られているところです。
本展覧会では、多くの初公開作品によって、松井家の「婚礼」にスポットをあてます。3万石の領地を有し、城主の格をもって八代城守衛の任をつとめ、将軍と自家の代替わりには江戸に参府して将軍御目見を果たしていた松井家では、その家格にふさわしい婚礼の儀がとり行われていました。幸いにも、ある程度まとまって残っている婚礼調度がその盛大な様を伝えています。
また、衣装や装身具、古典文学や香道具、雛人形や玩具など、松井家の夫人たちが日々親しんだ遺愛の品々も紹介します。当時長寿に恵まれる女性は少なく、無事に成長する子どもも多くはありませんでした。細やかな装飾がほどこされたこれらの品々からは、江戸時代に花開いた武家文化の粋を見ることができると同時に、日々の平安と子どもの健やかな成長を願う切実な思いが感じられます。
松井家に伝わる膨大な文化財を保存公開するため、昭和59年(1984)に設立された財団法人松井文庫は、元禄元年(1688)松井家4代直之が建てた御茶屋(現・国指定名勝「浜御茶屋(松浜軒)庭園」)内にあり、今年で創立20周年を迎えます。本展はこれを記念し、本館と同文庫、熊本日日新聞社との共催により開催するものです。
◆出品リスト(PDF)◆
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