平成16年1月20日〜2月15日 |
香道具
お香を焚いて、その香りをかぎ分けて競い合う・・・
という奥ゆかしい遊びがあります。
グループまたは1対1で、いくつかの香を聞き分け(香りの違いをかぎ分ける)、
正解した数を競う遊びを組香といい、1000種以上の遊び方があるそうです。
※香道では、香を焚いて、香りをかぐことを「聞く」といいます。
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十種香(じしゅこう)
もっともポピュラーな「十種香」の遊び方をみてみましょう。
十種香では、4種の香を用い、そのうち3種を3包ずつ、残り1種(客)を1包の、計10包を用意します。
それらを順に聞いていき、最初に出た香に「一」と書いた香札をつけます。2番目に出た香が「一」と同じ香であったら「一」、違う香であったら「二」の札をつけます。3番目に出た香が「一」「二」と異なれば「三」の札をつけ、4番目に出た香が「一」「二」「三」と異なれば「客」の札をつけます。
「一」「二」「三」「客」と書かれた香札は、各3枚ずつ(全12枚)あるので、10包聞き終わると、必ず2枚が残ります。このとき、同じ札が2枚残っていなければ、どこかで聞き違えていることになります。
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松竹文蒔絵十種香道具
(しょうちくもんまきえじしゅこうどうぐ)
江戸時代後期(19世紀)
Covered Box for Incense
Game Utensils.
草花や花鳥の文様が描かれた黒い札は、香札といい、裏に「一」「二」「三」「客」とかかれた札が各三枚ずつ用意されています。 |
橋に梅樹文蒔絵十種香道具
(はしにばいじゅもんまきえじしゅこうどうぐ)
江戸時代後期(19世紀)
Covered Box for Incense
Game Utensils.
香を焚く香炉は、京焼の大成者野々村仁清の作と伝えられています。 |
香道具
■香を入れる・・・香箱、香包
■香を焚く・・・香炉、香箸(きょうじ・香を扱う)、香匙(すくい・香を扱う)、銀葉(ぎんよう・香をのせて火の上におく)、銀葉挟(銀葉をつまむピンセット)、鶯(うぐいす・空になった香包を刺しておく)、本香盤(銀葉をのせておく)
■炭を扱う・・・火箸(こじ・炭を扱う箸)、灰押(はいおし・香炉の灰を整える)、羽箒(灰を払う)、火間指(ひあじ・炭の火加減を見る)、火筋立(道具を立てておく)
■番号をつける・・・香札(裏に「一」「二」「三」「客」とかかれている)、札筒(香札を入れる)
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競馬香(くらべうまこう)
4種の香を4包ずつ用意し(16包)、4種を1包ずつ焚いて香りを覚えます(試香)。
つぎに残った12包から2包をとって10包とし、これを順不同に焚いて、試香の何番目と同じであったかを当てます。対戦は2チームに分かれて行い、メンバーの正解数の和がチームの得点となります。
盤上には、2頭の馬と騎手が置かれ、乗馬するのに1点、あとは1点ごとに4マスを進めることができます。チームが0点であれば落馬とし、馬同士が5マス以上開くと、遅れているほうを落馬とします。落馬から乗馬するにも1点が必要です。こうして、先に勝負木(ゴールに立てる目印)を超えたほうが勝ちという遊びです。 |
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四種盤
(ししゅばん)
江戸時代後期(19世紀)
Board for Incense Game.
組香のうち「競馬香」(騎馬人形2体)、「源平香」(紅白の旗)、「名所香」(桜と紅葉の造りもの)、「矢数香」(矢)の4種の遊び方ができるので、四種盤といいます。
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九曜紋唐草蒔絵沈割道具
(くようもんからくさまきえじんわりどうぐ)
江戸時代後期(19世紀)
Incense Cutting Board
and Utensils.
これらは香木を割り削る道具で、沈割台(じんわりだい)、香鑿(のみ)、香鉈(なた)、香槌(つち)、香鋸(のこ)があります。
沈とは、代表的な香木である沈香(ジンチョウゲの樹脂から採取され、上等なものを伽羅という)からきています。それぞれの柄に、九曜紋が蒔絵されています。
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州浜文蒔絵香箪笥
(すはまもんまきえこうだんす)
江戸時代後期(19世紀) Cabinet for
Incense Utensils.
香の入った包(香包)などを入れる小箪笥です。鍵がかかったままになっているため、現在では中を見ることができません。 |
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煙草盆
火入れ(炭火を入れる)、灰落とし(蓋付きの灰皿)、煙管などを一そろいにしたもの。
もともとは、香道具の香炉や焚殻入、それらをのせる香盆が原型だったようです。
盆形、提げ手つき、箱形、引出しつき、鬢台形、風覆形・・・
いろいろな形の煙草盆が作られました。
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松竹梅文蒔絵煙草盆
(しょうちくばいもんまきえたばこぼん)
明治19年(1886)
Tobacco Tray and Smoking
Accessories.
細い提げ手のついた瀟洒な煙草盆。 盆の見込に若松や竹、春の草花などを表し、縁の部分に梅花と唐草文様を表しています。
左が灰落とし、右が火入れ、手前が煙管です。
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三ッ笹紋唐草蒔絵煙草盆
(みつざさもんからくさまきえたばこぼん)
江戸時代後期(19世紀)
Tobacco Tray and Smoking
Accessories.
松井家の家紋と唐草文を金蒔絵した煙草盆。鬢台(びんだい)とは、髪を整える櫛や化粧道具を入れておいた台のことで、天板が盆状になっている。
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竜田川文蒔絵煙草盆
(たつたがわもんまきえたばこぼん)
江戸時代後期(19世紀)
Tobacco Tray and Smoking
Accessories.
流水に紅葉の文様は、紅葉の名所として、古くから多くの歌に詠まれた竜田川(奈良県生駒山地を流れる)を連想させます。有名な歌に、「ちはやぶる神代もきかずたつた川、からくれないに水くくるとは」(在原業平)があります。
この煙草盆の紅葉形に透かした部分には、紗(目の粗い絹)が張ってありましたが、すでになくなっています。
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文房具
誰でも、自分の身の回りには、気に入った道具を置きたいもの。
とくに文房具にこだわりを持っている人は多いでしょう。
江戸時代の文房具といえば、筆・硯・墨・紙が中心で、これらを文房四宝といいます。
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野宮蒔絵硯箱
(ののみやまきえすずりばこ)
桃山〜江戸時代初期 Inkstone Box.
柴垣に鳥居という組合は、『源氏物語』の中で、光源氏が野宮に六条御息所を尋ね、別れの歌を交換する場面(巻十「賢木」)を表しています。千利休所用と伝えられている硯箱です。 |
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松竹梅文蒔絵重硯箱
(しょうちくばいもんまきえかさねすずりばこ)
江戸時代後期(19世紀)
Inkstone Boxes.
中に同形・同内容の硯箱5段を収めたもので、連歌や俳諧などを催した席で、複数の人で用いたものでしょう。桜の花を図案化した家紋が所用者を知る手がかりになると思われますが、今のところ不明です。
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松鶴文螺鈿硯箱
(まつにつるもんらでんすずりばこ)
江戸時代後期(19世紀) Inkstone
Box.
螺鈿(らでん)とは、アワビ貝などの光沢のある部分を薄く剥(は)ぎ取って、文様の形に切り取ったものを木地に嵌(は)めこむもので、虹色の輝きが魅力の技法です。 |
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堆朱楼閣人物図硯箱
(ついしゅろうかくじんぶつずすずりばこ)
中国・清時代 Inkstone Box.
堆朱は、漆を厚く塗り重ねて層をつくり、これに文様を彫刻したもので、中国からもたらされたものです。
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