松井家歴代夫人のうち、もっとも関係品が多く残っている方は、松井家十代目章之夫人の
貞操院です。
貞操院は、細川家初代藤孝の二男興元(三斎の弟)を初代とする下野国茂木藩主細川家の出身で、章之との縁組は細川家十二代斉護の勧めによります。箱書きや包み紙に「貞操院様お持ち越し」「貞操院様おゆつり」と書かれているので、この方の持ち物であったことがわかります。
また、細川家の家紋である九曜紋や藩主夫人の実家の紋がついた品があることから、藩主夫人から拝領したものも多いことがわかります。実際に、貞操院婚礼の際には、斉護夫人顕光院や十一代斉樹夫人蓮性院、細川九代目治年の娘で京都の久我家に嫁いだ就姫らと面会する機会があり、そうした折にいただくことが多かったのでしょう。拝領品であったためか、ほとんど使用せずに大切に保存されており、当時のままの色あざやかさをまのあたりにすることができます。
◆参考図書 平成16年度秋季特別展覧会「武家の婚礼―八代・松井家のお嫁入り」図録
松井家の婚礼にスポットをあてた展覧会図録。婚礼調度、女性の身辺を飾った絵画や衣裳、雛人形など、繊細優美な工芸品を115件500点余を収録。A4版・136頁・1,000円(送料350円)
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