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肥後金工解説A
『肥後金工録』
肥後金工録  
 江戸時代、肥後熊本で生産された装剣金具(刀を納める鞘や柄に施された金具類)は、美術品として高い評価を受けています。その価値に着目し、全国的にその名を広めるのに貢献したのが、明治35年に出版された『肥後金工録』です。  
 土佐出身で陸軍大佐として熊本に赴任した長屋重名氏によって著わされたこの書物は、肥後金工研究の端緒を開いたばかりでなく、今なお研究の指針として必読の書となっています。
 この書物の中で、肥後金工の代表的流派はどのように取り上げられているでしょうか。
 
林派
 林又七といふ者あり。その祖は鉄砲鍛冶にて、かたわら金工たり。加藤清正朝臣につかへて、はやく肥後にありしが、寛永年中、我が細川家につかへて同じく金工となれり。こは同国春日村に居りしかば、世には春日鐔といへり…―――『肥後金工録』序文より(細川護美氏寄稿)

 此作肥後金工第一等と称す。鉄及銅赤銅四分一等諸作あり。就中鉄色は絶類にして、其地合のしまりよく麗はしき事は譬へんにものなし。又布目象眼は尽く精妙を極め、又彫込象眼は雅致あり。共に絶品なり。―――――『肥後金工録』本文より
 
平田派
肥後の金工は我が遠祖三斎君の未だ丹後におわせし時、平田彦三といふを用ひられしにはじまれり。彦三は近江の人にて、その頃の手ききなりしが、やがてその技を君に伝えまいらせ……
―――――『肥後金工録』序文より(細川護美氏寄稿)

 ………此作春日とは別趣なり。地鉄強くかつ澤あり。鐔の式は木瓜形・丸形・長丸形等種々あり。その櫃の式概ね大形なり。又焼手クサラカシを用いるもの多し。……鐔の作地、金烏銅・真鍮・銅の類最も多く、鉄地は割合には少なし。総て古意ある作行にして絶えて俗気なし。其薄出来には、古正阿弥の作の如き、又或は三斎公作の如きものもあり。概して品格高く見ゆ。尋常工人の作と異なる所以なり。……此作地金の何に拘はらず覆輪鐔多し。至て見事にて就中小田原覆輪の如きは独歩と称す。…… ―――――『肥後金工録』本文より
 
西垣派
また西垣勘四郎といふものにも授けたり。勘四郎は後に附従して肥後に来り、その子孫代々この技を伝えぬ。これを勘四郎鐔及び縁頭といふ…―――――『肥後金工録』序文より(細川護美氏寄稿)

 地鉄は概ね其師彦三に近きといへども稍サックリとする心あり。まゝこれに反し鏡面の如きも見ゆ。据物象眼彫透の諸法いずれも見事なり。殊に勝れたるは縁の作なり。……鐔の形は大かた丸き下張りに作る。眞丸・及びアヲリ形・木瓜形は稀。……鐔亦工にて式は種々あり、桐・松・梅・菊等多く見る。まゝ又七の壮年作に髣髴たるもあり、然に細に見れば第一其櫃の式又耳の法異れり(耳櫃肉置多くは尖り勝手なり)……真鍮鐔には名作見ゆ。…ホリ上・ケシ込・据物・地透物あらざるなし。…… ―――――『肥後金工録』本文より
 
志水派
平田の一族にて志水甚五郎といへるものの作を甚五鐔といひ…
―――――『肥後金工録』序文より(細川護美氏寄稿)

 初代作行総て古雅なり。鐔の式は多くはアヲリ形・木瓜等にて環耳スキ下ケに作るものもあり。概ね厚造のかたなり。且肌物勝ちなれば一見甚美とはいひかたきも却趣あり。据物布目象眼共に著名にして、其天龍・鯉等は据物ホリ共にあり。人物・蟹其外動物類は専ら据物に作る例なり。牛は彫上にて名代たり。雁・糸巻・菊は重に真鍮張金なり。布目は金銀いずれもあり。就中布目銀すりはき象眼は妙とす。又地鉄に焼手クサラカシと唱ふ法あり。最得意の如し。案ずるに其師彦三伝来ならん。但彦三に比して深く入るかた故に一層強く見ゆ。……
―――――『肥後金工録』本文より
 
このように的確な表現で、各流派の特色を表現しています。まず、じっくりと作品を見ることを、この本は教えてくれます。


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