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八代市の文化財
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第1常設展示室


八代焼(高田焼)
八代焼(やつしろやき)は、400年の歴史を持つ肥後熊本を代表する陶磁器です。 窯の置かれた場所の地名から高田焼(こうだやき)の名でも親しまれています。
Google Arts & cultureの「日本の匠」に紹介されています。
Google Arts&cultre 八代焼/高田焼
■八代焼名品選  2024年3月26日〜2024年6月30日
 八代焼は熊本を代表する焼物です。当館は平成3年の開館以来、八代焼の収集・保管につとめ、いまや質・量ともに日本一を誇るコレクションとなりました。今回は、当館所蔵の八代焼の名品から茶道具や日常の器など11点を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 肩衝茶入 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
2 象嵌鱗文茶碗 上野熊次郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
3 象嵌牡丹文水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
4 染付沢瀉文煎茶器 上野勝三 1式 近代(20世紀) 本館
5 流釉文甕 上野野熊 1口 天保8年(1837) 本館
6 象嵌桃文皿 10口 江戸時代後期(18世紀末〜19世紀) 本館
7 木葉形向付 5口 江戸時代中期(18世紀末) 本館
8 流釉徳利 1口 江戸時代中期(18世紀末) 本館
9 象嵌寿字文徳利 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
10 象嵌和歌文陶枕 上野百里(上野太郎助ヵ) 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
11 象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
■八代焼の茶道具  2023年12月19日〜2024年3月24日
 鎌倉時代に禅僧が中国から持ちこんだ喫茶の習慣は、独自の発展を遂げながら日本に浸透していきました。戦国時代には、千利休によって簡素さ・慎ましさのなかに美を見出すことを精神とした「侘び茶」が大成され、朝鮮半島で焼かれた高麗物や東南アジアの南蛮物、そして国内製の和物といった素朴な器が好んで用いられました。
 侘び茶は武家社会にも広まり、多くの愛好者を生み出します。八代で生涯を終えた大名・細川三斎もそのひとりです。安土桃山時代から江戸時代初めに活躍した三斎は、勇敢な武将であると同時に、千利休の高弟として知られる茶人でした。そのため、細川家では、豊前・小倉(福岡県北九州市)城主の時代から、国元の上野焼(福岡県田川郡)の陶工に好みの茶器などを焼かせていました。寛永9年(1632)、加藤家改易によって細川家が肥後に国替となり、三斎の息子で細川家当主の忠利は熊本城に、隠居の三斎は八代城に入ります。このとき、上野焼の陶工の中には細川家とともに肥後に移住した人びとがいました。八代には喜蔵とその家族が入り、奈良木(八代市奈良木町)で作陶をはじめました。これが現在も続く八代焼のルーツです。
 このように茶人・細川三斎とかかわりが深い八代焼では、伝統的に美しい茶器が多く焼かれてきました。ここでは、江戸時代に焼かれた茶碗・茶入・水指を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 肩衝茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
2 象嵌紅葉文散茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
3 象嵌狂言袴文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀初め) 本館
4 象嵌暦手文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀中頃) 本館
5 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
6 芋頭水指 1口 江戸時代前期〜中期(17世紀後半〜18世紀前半) 本館
7 菱形水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
8 灰釉袋形共蓋水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
9 千段巻水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
■文人が愛した道具―文房具と香炉― 2023年10月3日〜12月17日
 中国では、詩・書・画を愛し学問を修めた知識人のことを「文人(ぶんじん)」と呼びます。文人は書斎(しょさい)で、学問のかたわら趣味を楽しむ清らかで静かな生活を理想としました。また書斎の雰囲気を大切にする彼らは、そこで用いる文房具(ぶんぼうぐ)や室内を飾る香炉(こうろ)などの道具にも洗練(せんれん)された趣味を持つようになりました。
 このような中国文人の考え方や趣味は、煎茶(せんちゃ)とともに日本へ伝わり、18世紀の中頃から日本の教養人の間で大流行しました。道具の需要の高まりとともに、八代焼でも文人好みの文房具や香炉が制作されたのでした。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌陶硯 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
2 雲文陶硯 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
3 波に日出文硯屏 上野扇庭(庭三) 1口 近代(20世紀) 本館
4 象嵌芭蕉文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 本館
5 象嵌竹蘭文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 寄託
6 象嵌団龍笹蔓文硯屏 1口 江戸時代中期(18世紀〜19世紀) 寄託
7 象嵌暦手文角形水注 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
8 象嵌唐草文水滴 1口 近代(20世紀) 本館
9 筆立 吉原素淵 1口 近代(20世紀) 本館
10 象嵌雷文繋筆洗 上野次郎吉 1口 近代(20世紀) 本館
11 象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
12 象嵌線文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
13 焼締仙人形香炉 渡辺忠恒 1口 江戸時代中期(18世紀) 寄託
象嵌陶硯 焼締仙人形香炉

■八代焼の向付 2023年3月28日〜6月18日
 向付は、茶の湯の食事である「懐石料理」に用いられる器で、おもに刺身や膾(生魚の和え物)などが盛られます。名称は、懐石膳の向こう、つまり食事をする人から見て飯椀や汁椀を手前側に置くのに対し、その向こう側に置くことにちなんだものです。
 八代焼では、初期から向付が焼かれています。17世紀には蓮を象った向付など素朴な器が多く見られます。18世紀になると木葉形、菊花形、舟形といった国内外様々な産地でよく見られる器形も現れ、そこに得意の象嵌や刷毛目といった装飾が加えた八代焼ならではの向付が焼かれました。19世紀には精度を増した象嵌技術の映える製品や半磁器製の「白高田」も誕生し、八代焼の向付はさらに多彩となりました。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 灰釉蓮葉形向付 5口 江戸時代前期(17世紀) 本館寄託
2 象嵌宝尽文筒形向付 5口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
3 菊花形向付 5口 江戸時代中〜後期(18〜19世紀) 本館
4 刷毛目舟形向付 5口 江戸時代後期(18世紀末〜19世紀) 本館
5 象嵌雲鶴文舟形向付 3口 江戸時代後期(19世紀) 本館寄託
6 木葉形向付   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
7 掻き落とし文向付 上野勝三 5口 近代(20世紀) 本館寄託
8 象嵌雷文輪花形向付 4口 近代(20世紀) 本館寄託

■八代焼の象嵌文様〜梅・桃・桜〜   2022年12月20日〜2023年3月26日
 八代焼の魅力のひとつに美しい象嵌文様があげられます。
 今回は館蔵品の八代焼から、春に向かうこれからの季節にふさわしい梅・桃・桜の文様が象嵌された器を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌梅樹文面取徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
2 象嵌梅松葉文向付 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌梅花文油壺 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 象嵌梅花雷文杓立 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
5 象嵌桃文皿 5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
6 象嵌桃文角皿   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
7 象嵌煎茶碗・急須 上野弥一郎 1式 近代(20世紀) 本館
8 象嵌桜花文蓋付碗 5口 近代(20世紀) 本館
9 白高田桜花文茶碗 1口 近代(20世紀) 本館寄託

■八代焼と図案帳  2022月10月4日〜12月18日
 江戸時代の八代焼は、藩などからの注文が書き入れられた図案に従って製品が作られていました。
 図案は藩の御茶道方の支配であった御用絵師によって描かれ、御茶道方の指示が書き込まれたうえで御用焼物師の手に渡されたものと推測されます。
 使用済みの図案はそのまま藩や焼物師の元などに残され、近代以降は注文や制作の参考として用いられました。
 この展示では、館蔵品の八代焼から、図案に従って作成されたと思われる製品を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌九曜紋茶碗 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
2 白高田染付袋形掛花入 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館寄託
3 象嵌寿字文徳利 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 象嵌暦手文土瓶 上野源太郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
5 象嵌雲鶴文皿 1口 江戸時代後期(18世紀後半) 本館
6 象嵌青海波亀文皿 3口 天保11年(1840) 本館寄託
7 熨斗形熨斗押 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
8 紅葉形熨斗押 上野熊次郎 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
9 象嵌花丸文土瓶 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
■在銘の八代焼 2022年6月21日〜10月2日
在銘の焼き物
 器物に記された製作者や製作窯の名称、製作年月日などを「銘(めい・銘款)」といい、銘があることを「在銘(ざいめい)」といいます。作者が陶磁器に自らの名前を刻む風習は、江戸時代初めの17世紀頃に京都で定着し、18世紀に入ると全国に普及しました。
 銘をつける方法はさまざまで、ヘラや釘で刻んだり、印を押したり、八代焼では珍しい象嵌銘のものも見られます。銘は、私たちに作者や製作年代を教えてくれるだけではなく、他の作品を判定するときの指標(基準)ともなり、焼き物を調査する上での重要な手がかりとなります。
八代焼の銘
 八代焼陶工・上野(あがの)家では、二代までの銘は知られておらず、17世紀末頃からヘラで刻んだ銘が見られるようになります。印による銘はそれより遅れ、18世紀中頃から見られるようになります。印が多くなるのは19世紀半ば以降で、近代以降におこった上野家以外の諸窯も含めさまざまな印を押した製品が焼かれています。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 印花文香炉 渡辺友之助(千里ヵ) 1口 享保13年(1728) 本館
2 象嵌葦文共蓋水注 藤四郎(可中ヵ) 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌暦手文花入 「肥後八代 上野製」 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 象嵌ツボツボ文杓立 上野東四郎(正誠) 1口 江戸時代後期(18世紀末〜19世紀) 本館
5 象嵌蘭花文手焙 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
6 印章 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
7 白高田急須 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
8 波に日出文硯屏 上野扇庭(庭三) 1口 近代(20世紀) 本館
9 蘭文茶碗 上野平 1口 近代(20世紀) 本館

■八代焼の酒器いろいろ  2022年3月29日〜6月19日
 酒器は、徳利・銚子といった酒の容器と、杯(盃)・猪口といった酒を飲むための器に大別できます。
室町時代頃までは、金属製の銚子、木製の杯、土製の杯である土器(かわらけ)などが一般的だったようですが、時代が下るにつれて陶磁製へと変わり、広く普及するのは江戸時代中期以降のようです。  八代焼でも江戸時代中期以降さまざまな酒器が焼かれています。
八代焼の代名詞ともいえる象嵌技法を駆使した美しい酒器が数多く残っており、とくに精緻な暦手文様が施された「象嵌暦手に桐文銚子」は八代焼の優品として知られます。
また、「象嵌草花文盃」のように明治期の文明開化に対応したモダンな酒器も作られ、時代に即応しようとする姿もみてとれます。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌暦手に桐紋銚子 上野東四郎 1口 嘉永3年(1850) 館蔵
2 灰釉印花文銚子 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
3 象嵌松・竹文徳利 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
4 象嵌蝶菊花文徳利 3口 近代(19世紀) 館蔵
5 象嵌波涛文舟徳利 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
6 象嵌銀杏鬼面文燗瓶 上野平 1口 近代(19世紀) 館蔵
7 象嵌布袋形酒注 吉田金五郎 1口 近代(19世紀) 館蔵
8 象嵌桜花文盃 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
9 象嵌草花文盃 1口 近代(19世紀) 館蔵
■八代焼の茶道具  2021年12月21日〜2022年3月27日
 鎌倉時代に禅僧が中国から持ちこんだ喫茶の習慣は、独自の発展を遂げながら日本に浸透していきました。戦国時代には、千利休によって簡素さ・慎ましさのなかに美を見出すことを精神とした「侘び茶」が大成され、朝鮮半島で焼かれた高麗物や東南アジアの南蛮物、そして国内製の和物といった素朴な器が好んで用いられました。
 侘び茶は武家社会にも広まり、多くの愛好者を生み出します。八代で生涯を終えた大名・細川三斎もそのひとりです。安土桃山時代から江戸時代初めに活躍した三斎は、勇敢な武将であると同時に、千利休の高弟として知られる茶人でした。そのため、細川家では、豊前・小倉(福岡県北九州市)城主の時代から、国元の上野焼(福岡県田川郡)の陶工に好みの茶器などを焼かせていました。寛永9年(1632)、加藤家改易によって細川家が肥後に国替となり、三斎の息子で細川家当主の忠利は熊本城に、隠居の三斎は八代城に入ります。このとき、上野焼の陶工の中には細川家とともに肥後に移住した人びとがいました。八代には喜蔵とその家族が入り、奈良木(八代市奈良木町)で作陶をはじめました。これが現在も続く八代焼のルーツです。
 このように茶人・細川三斎とかかわりが深い八代焼では、伝統的に美しい茶器が多く焼かれてきました。ここでは、江戸時代に焼かれた茶碗・茶入・水指を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 肩衝茶入 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
2 肩衝茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌狂言袴文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀初め) 本館
4 象嵌暦手文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀中頃) 本館
5 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
6 芋頭水指 1口 江戸時代前期〜中期(17世紀後半〜18世紀前半) 本館
7 菱形水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
8 灰釉袋形共蓋水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
9 象嵌若松文水指 上野野熊作 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
■象嵌の技法  2021年10月5日〜12月9日
 象嵌とは、作品の素地に異なる材質を埋め込んで模様を表現する技法です。
 金工、木工、陶磁器とさまざまな分野の工芸に用いられており、熊本の伝統工芸品として有名な肥後象嵌(ひごぞうがん)"は鉄地などに金や銀を埋め込んだものです。
 緑がかった地に白や黒で文様を表した八代焼の象嵌は、江戸時代から全国的に知られるものでした。象嵌の技法は、現在も八代焼を象徴する装飾技法となっています。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌鱗文茶碗 上野熊次郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
2 象嵌暦手文徳利 上野源太郎 1口 江戸時代末期(19世紀) 館蔵
3 象嵌印花文香炉 上野弥一郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
4 象嵌鶴・若松文煎茶碗 5口 近代(20世紀) 館蔵
5 染付牡丹唐草文長皿 上野野熊ほか 5口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
6 象嵌網目文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀前半) 本館寄託
7 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀末) 館蔵
8 象嵌狂言袴文香炉 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
9 象嵌竹文竹節形徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
10 象嵌菊唐草文徳利 上野東四郎 1口 文化12年(1815) 館蔵
11 象嵌竹文土瓶 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀末) 館蔵
■動物文様の八代焼 2021年6月22日〜10月3日
動物文様の八代焼
 江戸時代の美術工芸品をみると、その多くに動物のモチーフが用いられています。身近な動物や異国の動物、そして想像上の幻獣など、さまざまな動物が身のまわり品を飾りました。 八代焼にも、その造形から文様まで、さまざまな動植物モチーフがデザインされています。とくに、八代焼を代表する「象嵌」の技法を駆使した精緻な文様は必見です。 ここでは、館蔵品から動物文様をほどこした八代焼をご紹介します。風雅ですこし大人な雰囲気の動物たちをお楽しみください。


【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌雲鶴文皿 1口 江戸時代後半(18世紀後半) 本館
2 象嵌亀文皿 3口 江戸時代後半(19世紀) 寄託
3 象嵌波千鳥形皿 山下唯彦ほか 2口 近代(20世紀) 本館
4 象嵌蛤形鉢 1口 江戸時代中頃(18世紀) 本館
5 象嵌蝶菊花酒器 2口 明治時代(19世紀) 本館
6 象嵌月に杜鵑薄文茶碗 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
7 象嵌月に蝙蝠文硯屏 上野才兵衛 1口 江戸時代後半(19世紀) 本館
8 象嵌竜文土瓶 1口 江戸時代後半(19世紀) 本館

■暮らしのやきもの   2021年3月30日〜6月20日
 八代焼コレクションのなかから、日々の暮らしで用いられた器や道具を紹介します。 展示品の中には、今でも身近な飲食器もあれば、現代ではほとんど見かけなくなった道具もあるでしょう。 さまざまな暮らしのやきものから、わが国の生活文化の一端に触れて頂ければ幸いです。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌梅松葉文蓋付碗 3口 江戸時代後期(19世紀) 本館
2 象嵌梅松葉文向付 3口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌桜花文刷毛目蓋付徳利 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
4 象嵌桜花文盃   3口 江戸時代末期(19世紀) 本館
5 お玉立 1口 近代(20世紀) 本館
6 練込手象嵌桜花文蓋物 吉原素淵 1口 近代(20世紀) 本館
7 象嵌三段重 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館寄託
8 象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
9 象嵌井桁に橘紋香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
10 象嵌梅花文油壺 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
11 熨斗形熨斗押 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
12 紅葉形熨斗押 上野熊次郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
13 雪輪形熨斗押 上野源太郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
14 象嵌龍文釘隠し 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
15 象嵌波涛文陶枕 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
16 象嵌和歌文陶枕 「上野百里」(不詳) 1口 文化7年(1810) 本館
17 象嵌注連縄三笹紋手焙 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■祝いの飲食器   2020年12月22日〜2021年3月28日
 飲食器には、皿・鉢・徳利・酒注・土瓶など、用途にあわせて、あらゆる種類や形があり、料理の内容や形式によって取り合わせが決められています。
 今回はとくに、祝宴にふさわしいおめでたい形やデザインの飲食器を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 鉄釉鯛形蓋物 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
2 象嵌若松文長方皿 5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
3 象嵌桃文角皿   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 菊花形向付   5口 江戸時代中期〜後期(18世紀) 本館
5 象嵌暦手に桐紋銚子 上野東四郎(勝喜) 1対 嘉永3年(1850) 本館
6 象嵌松・竹文徳利 上野野熊 2口 江戸時代後期(19世紀) 本館
7 象嵌梅樹文面取徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
8 象嵌寿字文徳利 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■文人が愛した道具―文房具と香炉― 2020年10月6日〜12月20日
 中国では、詩・書・画を愛し学問を修めた知識人のことを「文人(ぶんじん)」と呼びます。文人は書斎(しょさい)で、学問のかたわら趣味を楽しむ清らかで静かな生活を理想としました。また書斎の雰囲気を大切にする彼らは、そこで用いる文房具(ぶんぼうぐ)や室内を飾る香炉(こうろ)などの道具にも洗練(せんれん)された趣味を持つようになりました。
 このような中国文人の考え方や趣味は、煎茶(せんちゃ)とともに日本へ伝わり、18世紀の中頃から日本の教養人の間で大流行しました。道具の需要の高まりとともに、八代焼でも文人好みの文房具や香炉が制作されたのでした。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌陶硯 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
2 雲文陶硯 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
3 波に日出文硯屏 上野扇庭(庭三) 1口 近代(20世紀) 本館
4 象嵌芭蕉文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 本館
5 象嵌竹蘭文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 寄託
6 象嵌団龍笹蔓文硯屏 1口 江戸時代中期(18世紀〜19世紀) 寄託
7 象嵌暦手文角形水注 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
8 象嵌唐草文水滴 1口 近代(20世紀) 本館
9 筆立 吉原素淵 1口 近代(20世紀) 本館
10 象嵌雷文繋筆洗 上野次郎吉 1口 近代(20世紀) 本館
11 象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
12 象嵌線文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
13 焼締仙人形香炉 渡辺忠恒 1口 江戸時代中期(18世紀) 寄託
■動植物文様の八代焼 2020年6月23日〜10月4日
動植物文様の八代焼
 江戸時代の美術工芸品をみると、その多くに動物のモチーフが用いられています。身近な動物や異国の動物、そして想像上の幻獣など、さまざまな動物が身のまわり品を飾りました。 八代焼にも、その造形から文様まで、さまざまな動植物モチーフがデザインされています。とくに、八代焼を代表する「象嵌」の技法を駆使した精緻な文様は必見です。 ここでは、館蔵品から動植物文様をほどこした八代焼をご紹介します。風雅ですこし大人な雰囲気の動物たちをお楽しみください。


【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌雲鶴文皿 1口 江戸時代後半(18世紀後半) 本館
2 象嵌亀文皿 3口 江戸時代後半(19世紀) 寄託
3 象嵌波千鳥形皿 山下唯彦ほか 2口 近代(20世紀) 本館
4 象嵌蛤形鉢 1口 江戸時代中頃(18世紀) 本館
5 象嵌蝶菊花酒器 2口 明治時代(19世紀) 本館
6 象嵌月に杜鵑薄文茶碗 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
7 象嵌月に蝙蝠文硯屏 上野才兵衛 1口 江戸時代後半(19世紀) 本館
8 象嵌竜文土瓶 1口 江戸時代後半(19世紀) 本館

■在銘の八代焼 2020年4月1日〜6月21日
在銘の焼き物
 器物に記された製作者や製作窯の名称、製作年月日などを「銘(めい・銘款)」といい、銘があることを「在銘(ざいめい)」といいます。作者が陶磁器に自らの名前を刻む風習は、江戸時代初めの17世紀頃に京都で定着し、18世紀に入ると全国に普及しました。
 銘をつける方法はさまざまで、ヘラや釘で刻んだり、印を押したり、八代焼では珍しい象嵌銘のものも見られます。銘は、私たちに作者や製作年代を教えてくれるだけではなく、他の作品を判定するときの指標(基準)ともなり、焼き物を調査する上での重要な手がかりとなります。
八代焼の銘
 八代焼陶工・上野(あがの)家では、二代までの銘は知られておらず、17世紀末頃からヘラで刻んだ銘が見られるようになります。印による銘はそれより遅れ、18世紀中頃から見られるようになります。印が多くなるのは19世紀半ば以降で、近代以降におこった上野家以外の諸窯も含めさまざまな印を押した製品が焼かれています。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 印花文香炉 渡辺友之助(千里ヵ) 1口 享保13年(1728) 本館
2 象嵌葦文共蓋水注 藤四郎(可中ヵ) 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌暦手文花入 「肥後八代 上野製」 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 象嵌ツボツボ文杓立 上野東四郎(正誠) 1口 江戸時代後期(18世紀末〜19世紀) 本館
5 象嵌蘭花文手焙 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
6 印章 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
7 白高田急須 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
8 波に日出文硯屏 上野扇庭(庭三) 1口 近代(20世紀) 本館
9 蘭文茶碗 上野平 1口 近代(20世紀) 本館

■茶の器 〜八代焼(高田焼)の茶器〜  2019年12月24日〜2020年3月29日
 鎌倉時代に禅僧が中国から持ちこんだ喫茶の習慣は、独自の発展を遂げながら日本に浸透していきました。戦国時代には、千利休によって簡素さ・慎ましさのなかに美を見出すことを精神とした「侘び茶」が大成され、朝鮮半島で焼かれた高麗物や東南アジアの南蛮物、そして国内製の和物といった素朴な器が好んで用いられました。
 侘び茶は武家社会にも広まり、多くの愛好者を生み出します。八代で生涯を終えた大名・細川三斎もそのひとりです。安土桃山時代から江戸時代初めに活躍した三斎は、勇敢な武将であると同時に、千利休の高弟として知られる茶人でした。そのため、細川家では、豊前・小倉(福岡県北九州市)城主の時代から、国元の上野焼(福岡県田川郡)の陶工に好みの茶器などを焼かせていました。寛永9年(1632)、加藤家改易によって細川家が肥後に国替となり、三斎の息子で細川家当主の忠利は熊本城に、隠居の三斎は八代城に入ります。このとき、上野焼の陶工の中には細川家とともに肥後に移住した人びとがいました。八代には喜蔵とその家族が入り、奈良木(八代市奈良木町)で作陶をはじめました。これが現在も続く八代焼のルーツです。
 このように茶人・細川三斎とかかわりが深い八代焼では、伝統的に美しい茶器が多く焼かれてきました。ここでは、江戸時代に焼かれた茶碗・茶入・水指を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 奈良木窯出土陶片   5片 江戸時代初期(17世紀) 本館
2 肩衝茶入 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
3 肩衝茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
4 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀) 本館
5 象嵌狂言袴文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀初め) 本館
6 象嵌暦手文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀中頃) 本館
7 象嵌鱗文茶碗 上野熊次郎作 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
8 芋頭水指 1口 江戸時代前期〜中期(17世紀後半〜18世紀前半) 本館
9 菱形水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
10 灰釉袋形共蓋水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
11 象嵌若松文水指 上野野熊作 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■飲食の器   2019年8月6日〜12月22日
 飲食器には、皿・鉢・徳利・酒注・土瓶など、用途にあわせて、あらゆる種類や形があり、料理の内容や形式によって取り合わせが決められています。
 ここでは、館蔵品の八代焼から、さまざまな形の飲食器を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌菊丸文皿 上野源太郎作 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
2 象嵌蛤形鉢 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
3 象嵌寿字文平鉢 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
4 象嵌若松文長方皿 5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
5 象嵌波濤文舟徳利 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
6 流釉徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
7 灰釉印花文銚子 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
8 象嵌花丸文土瓶 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■八代焼と図案帳  2019年4月2日〜8月4日
 江戸時代の八代焼は、藩などからの注文が書き入れられた図案に従って製品が作られていました。
 図案は藩の御茶道方の支配であった御用絵師によって描かれ、御茶道方の指示が書き込まれたうえで御用焼物師の手に渡されたものと推測されます。
 使用済みの図案はそのまま藩や焼物師の元などに残され、近代以降は注文や制作の参考として用いられました。
 この展示では、館蔵品の八代焼から、図案に従って作成されたと思われる製品を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌九曜紋茶碗 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
2 白高田染付袋形掛花入 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館寄託
3 象嵌寿字文徳利 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 象嵌暦手文土瓶 上野源太郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
5 象嵌雲鶴文皿 1口 江戸時代後期(18世紀後半) 本館
6 象嵌青海波亀文皿 1口 天保11年(1840) 本館寄託
7 熨斗形熨斗押 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
8 紅葉形熨斗押 上野熊次郎 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
9 象嵌花丸文土瓶 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■茶の器  2018年10月2日〜12月9日
 鎌倉時代に禅僧が中国から持ちこんだ喫茶の習慣は、独自の発展を遂げながら日本に浸透していきました。戦国時代には、千利休によって簡素さ・慎ましさのなかに美を見出すことを精神とした「侘び茶」が大成され、朝鮮半島で焼かれた高麗物や東南アジアの南蛮物、そして国内製の和物といった素朴な器が好んで用いられました。
 侘び茶は武家社会にも広まり多くの愛好者を生みだしますが、八代で生涯を終えた大名・細川三斎もそのひとりです。安土桃山時代から江戸時代初めに活躍した三斎は、勇敢な武将であると同時に、千利休の高弟としても知られる大茶人でした。
 そのため、細川家では、豊前・小倉(福岡県北九州市)城主の時代から、国元の上野焼(福岡県田川郡赤池町)の陶工に好みの茶器などを焼かせていました。寛永9年(1632)、それまで肥後を治めていた加藤家の改易によって細川家が肥後に国替となり、三斎の息子で細川家当主の忠利は熊本城に、隠居の三斎は八代城に入ります。このとき、上野焼の陶工の中には細川家とともに肥後に移る人びとがいました。八代には喜蔵とその家族が入り、奈良木(八代市奈良木町)で作陶をはじめました。これが現在も続く八代焼のルーツです。
 このように茶人・細川三斎とかかわりが深い八代焼では、伝統的に美しい茶器が多く焼かれてきました。ここでは、江戸時代に焼かれた茶碗・茶入・水指を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 胴締茶入 奈良木窯出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
2 肩衝茶入 奈良木窯出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
3 肩衝茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
4 象嵌紅葉散文茶入 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
5 鉄絵葦文茶碗 奈良木窯跡出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館寄託
6 鉄釉半筒茶碗 奈良木窯跡出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館寄託
7 象嵌九曜紋茶碗   1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
8 象嵌狂言袴文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
9 象嵌暦手文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
10 芋頭水指 1口 江戸時代前期〜中期
(17世紀前半〜18世紀前半)
本館
11 菱形水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
12 象嵌牡丹文水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
13 灰釉袋形共蓋水指   1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
14 象嵌若松文水指 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■文人が愛した道具―文房具と香炉― 2018年7月10日〜9月30日
 中国では、詩・書・画を愛し学問を修めた知識人のことを「文人(ぶんじん)」と呼びます。文人は書斎(しょさい)で、学問のかたわら趣味を楽しむ清らかで静かな生活を理想としました。また書斎の雰囲気を大切にする彼らは、そこで用いる文房具(ぶんぼうぐ)や室内を飾る香炉(こうろ)などの道具にも洗練(せんれん)された趣味を持つようになりました。
 このような中国文人の考え方や趣味は、煎茶(せんちゃ)とともに日本へ伝わり、18世紀の中頃から日本の教養人の間で大流行しました。道具の需要の高まりとともに、八代焼でも文人好みの文房具や香炉が制作されたのでした。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
象嵌陶硯 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
雲文陶硯 上野勝三 1口 近代(20世紀) 本館
象嵌暦手文角形水注 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 本館
象嵌唐草文水滴 1口 近代(20世紀) 本館
網田焼染付山水文水滴 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
網田焼染付山水文水滴 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
筆立 吉原素淵 1口 近代(20世紀) 本館
象嵌雷文繋筆洗 上野次郎吉 1口 近代(20世紀) 本館
象嵌芭蕉文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 本館
10 象嵌月に蝙蝠文硯屏 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
11 象嵌竹蘭文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 本館
12 象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
13 焼締仙人形香炉 渡辺忠恒 1口 江戸時代中期(18世紀) 寄託
14 象嵌香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
15 松橋焼象嵌花唐草文香炉 1口 明治時代(19世紀後半) 本館
16 薩摩焼金襴手三脚香炉 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館寄託
象嵌陶硯 焼締仙人形香炉

■象嵌の技法  2018年4月3日〜7月1日
 象嵌とは、作品の素地に異なる材質を埋め込んで模様を表現する技法です。
 金工、木工、陶磁器とさまざまな分野の工芸に用いられており、熊本の伝統工芸品として有名な肥後象嵌(ひごぞうがん)"は鉄地などに金や銀を埋め込んだものです。
 緑がかった地に白や黒で文様を表した八代焼の象嵌は、江戸時代から全国的に知られるものでした。象嵌の技法は、現在も八代焼を象徴する装飾技法となっています。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌鱗文茶碗 上野熊次郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
2 八代焼制作模型 高田焼上野窯制作 1式 現代(20世紀) 館蔵
3 象嵌暦手文徳利 上野源太郎 1口 江戸時代末期(19世紀) 館蔵
4 象嵌印花文香炉 上野弥一郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
5 象嵌蝶菊花文酒器 1口 明治時代(19世紀) 館蔵
6 象嵌鶴・若松文煎茶碗 5口 近代(20世紀) 館蔵
7 白磁団竜文刻急須 上野源太郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
8 白磁染付袋形掛花入 上野才兵衛 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館寄託
9 染付牡丹唐草文長皿 上野野熊ほか 5口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
10 象嵌網目文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀前半) 本館寄託
11 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀末) 館蔵
12 象嵌狂言袴文香炉 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
13 象嵌竹文竹節形徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
14 象嵌菊唐草文徳利 上野東四郎 1口 文化12年(1815) 館蔵
15 象嵌竹文土瓶 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀末) 館蔵

■飲食の器 2018年1月10日〜4月1日
めでたい飲食器
 飲食器には碗・皿・鉢・徳利など、さまざまな種類や形があり、料理の内容や形式によって取り合わせが決められます。正月や節句などの年中行事や、婚礼などの晴れの日には特別な食事が準備されたため、めでたい席にふさわしい吉祥文様(きっしょうもんよう)の器が用いられました。
 吉祥文様とは、“めでたい・縁起の良い模様”のことです。昔の人びとは、幸福が訪れるよう願いを込めて、暮らしの道具に吉祥文様をちりばめました。吉祥文様が施された器は、八代焼にも多く見られます。今回は、さまざまな形のおめでたい八代焼の飲食器を紹介します。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌若松文長方皿   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
2 象嵌梅松葉文蓋付碗   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
3 象嵌桃文角皿   5口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 菊花形向付   5口 江戸時代中期〜後期(18世紀) 本館
5 象嵌暦手に桐紋銚子 上野東四郎(勝喜) 1対 嘉永3年(1850) 本館
6 象嵌松・竹文徳利 上野野熊 2口 江戸時代後期(19世紀) 本館
7 象嵌梅樹文面取徳利   1口 江戸時代中期(18世紀) 本館

■在銘の八代焼 2017年10月3日〜2018年1月8日
在銘の焼き物
 器物に記された製作者や製作窯の名称、製作年月日などを「銘(めい・銘款)」といい、銘があることを「在銘(ざいめい)」といいます。作者が陶磁器に自らの名前を刻む風習は、江戸時代初めの17世紀頃に京都で定着し、18世紀に入ると全国に普及しました。
 銘をつける方法はさまざまで、ヘラや釘で刻んだり、印を押したり、八代焼では珍しい象嵌銘のものも見られます。銘は、私たちに作者や製作年代を教えてくれるだけではなく、他の作品を判定するときの指標(基準)ともなり、焼き物を調査する上での重要な手がかりとなります。
八代焼の銘
 八代焼陶工・上野(あがの)家では、二代までの銘は知られておらず、17世紀末頃からヘラで刻んだ銘が見られるようになります。印による銘はそれより遅れ、18世紀中頃から見られるようになります。印が多くなるのは19世紀半ば以降で、近代以降におこった上野家以外の諸窯も含めさまざまな印を押した製品が焼かれています。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 印花文香炉 渡辺友之助(千里ヵ) 1口 享保13年(1728) 本館
2 象嵌暦手文花入 「肥後八代 上野製」 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
3 象嵌蘭花文手焙 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
4 波に日出文硯屏 上野扇庭(庭三) 1口 近代(20世紀) 本館
5 象嵌葦文共蓋水注 藤四郎(可中ヵ) 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
6 印章 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
7 白高田急須 上野才兵衛 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 本館
8 蘭文茶碗 上野平 1口 近代(20世紀) 本館

■茶の器  2017年7月14日〜10月1日
 鎌倉時代に禅僧が中国から持ちこんだ喫茶の習慣は、独自の発展を遂げながら日本に浸透していきました。戦国時代には、千利休によって簡素さ・慎ましさのなかに美を見出すことを精神とした「侘び茶」が大成され、朝鮮半島で焼かれた高麗物や東南アジアの南蛮物、そして国内製の和物といった素朴な器が好んで用いられました。
 侘び茶は武家社会にも広まり多くの愛好者を生みだしますが、八代で生涯を終えた大名・細川三斎もそのひとりです。安土桃山時代から江戸時代初めに活躍した三斎は、勇敢な武将であると同時に、千利休の高弟としても知られる大茶人でした。
 そのため、細川家では、豊前・小倉(福岡県北九州市)城主の時代から、国元の上野焼(福岡県田川郡赤池町)の陶工に好みの茶器などを焼かせていました。寛永9年(1632)、それまで肥後を治めていた加藤家の改易によって細川家が肥後に国替となり、三斎の息子で細川家当主の忠利は熊本城に、隠居の三斎は八代城に入ります。このとき、上野焼の陶工の中には細川家とともに肥後に移る人びとがいました。八代には喜蔵とその家族が入り、奈良木(八代市奈良木町)で作陶をはじめました。これが現在も続く八代焼のルーツです。
 このように茶人・細川三斎とかかわりが深い八代焼では、伝統的に美しい茶器が多く焼かれてきました。ここでは、江戸時代に焼かれた茶碗・茶入・水指を紹介します。

【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 胴締茶入 奈良木窯出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
2 肩衝茶入 奈良木窯出土 1口 江戸時代初期(17世紀) 本館
3 象嵌九曜紋茶碗   1口 江戸時代中期(18世紀) 本館寄託
4 象嵌狂言袴文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
5 象嵌暦手文茶碗 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館
6 芋頭水指 1口 江戸時代前期〜中期
(17世紀前半〜18世紀前半)
本館
7 菱形水指 1口 江戸時代中期(18世紀) 本館
8 象嵌若松文水指 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀) 本館

■象嵌の技法  2017年4月4日〜7月9日
 象嵌とは、作品の素地に異なる材質を埋め込んで模様を表現する技法です。八代焼を象徴する美しい象嵌模様は、江戸時代から全国に知られるものでした。八代焼の象嵌の見どころを作品とともに紹介します。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
1 象嵌鱗文茶碗 上野熊次郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
2 八代焼制作模型 高田焼上野窯制作 1式 現代(20世紀) 館蔵
3 象嵌暦手文徳利 上野源太郎 1口 江戸時代末期(19世紀) 館蔵
4 象嵌印花文香炉 上野弥一郎 1口 江戸時代末期〜明治時代(19世紀) 館蔵
5 象嵌蝶菊花文酒器 1口 明治時代(19世紀) 館蔵
6 象嵌網目文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀前半) 本館寄託
7 象嵌牡丹文茶碗 1口 江戸時代前期(17世紀末) 館蔵
8 象嵌狂言袴文香炉 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
9 象嵌竹文竹節形徳利 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
10 象嵌菊唐草文徳利 上野東四郎 1口 文化12年(1815) 館蔵
11 象嵌竹文土瓶 上野野熊 1口 江戸時代後期(19世紀末) 館蔵

■文人が愛した道具―文房具と香炉― 2017年1月4日〜4月2日
 中国では、詩・書・画を愛し学問を修めた知識人のことを「文人(ぶんじん)」と呼びます。文人は書斎(しょさい)で、学問のかたわら趣味を楽しむ清らかで静かな生活を理想としました。また書斎の雰囲気を大切にする彼らは、そこで用いる文房具(ぶんぼうぐ)や室内を飾る香炉(こうろ)などの道具にも洗練(せんれん)された趣味を持つようになりました。
 このような中国文人の考え方や趣味は、煎茶(せんちゃ)とともに日本へ伝わり、18世紀の中頃から日本の教養人の間で大流行しました。道具の需要の高まりとともに、八代焼でも文人好みの文房具や香炉が制作されたのでした。
【展示作品】
作品名 作者 員数 時代 所蔵
象嵌陶硯 1口 江戸時代中期(18世紀) 館蔵
雲文陶硯 上野勝三 1口 近代(20世紀) 館蔵
波に日出文硯屏 上野庭三 1口 近代(20世紀) 館蔵
象嵌芭蕉文硯屏 1口 江戸時代中期(18〜19世紀) 館蔵
象嵌暦手文角形水注 上野才兵衛 1口 江戸時代末期(19世紀) 館蔵
象嵌唐草文水滴 1口 近代(20世紀) 館蔵
筆立 吉原素淵 1口 近代(20世紀) 館蔵
象嵌雷文繋筆洗 上野次郎吉 1口 近代(20世紀) 館蔵
象嵌暦手文香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
10 象嵌香炉 1口 江戸時代後期(19世紀) 館蔵
11 焼締仙人形香炉 渡辺忠恒 1口 江戸時代中期(18世紀) 個人蔵
象嵌陶硯 焼締仙人形香炉



■季節を感じる茶器―秋・冬― 2016年9月27日〜12月18日
 一杯の茶でお客様をもてなすとき、どのようなことを考えますか?例えば、季節感。夏はグラスに冷たいお茶を、冬は湯呑(ゆのみ)に熱いお茶を用意するのではないでしょうか。  このコーナーでは、「季節」をテーマに、八代(やつしろ)焼(やき)の茶器を選んでみました。茶碗(ちゃわん)の形や、象嵌(ぞうがん)の技法で表された模様に注目しながら、秋から冬の季節に似合いの茶器をお楽しみください。
【展示作品】
作 品 名 員 数 時 代
象嵌桔梗文煎茶器 急須1口、湯冷1口
茶碗5口1口
近代(20世紀)
象嵌桔梗に蝶文茶碗 1口 近代(20世紀)
象嵌月に杜鵑・芒文茶碗 1口 近代(20世紀)
象嵌楓文茶碗  1口 江戸時代後期(19世紀)
象嵌紅葉散文茶入 1口 江戸時代中期(18世紀)
象嵌龍田川文茶碗 1口 近代(19〜20世紀)
象嵌蘭花文雪輪形碗 1口 近代(19世紀)
象嵌水仙文水注 1口 江戸時代中期(18世紀)
象嵌桔梗に蝶文茶碗 象嵌水仙文水注


■八代焼―象嵌の技術
八代焼(やつしろやき)は、400年の歴史を持つ肥後熊本を代表する陶磁器です。その創始期には、茶道の大成者千利休に教えを受けた大名茶人細川三斎(ほそかわさんさい)の指導を受け、肥後細川藩の御用窯(ごようがま)として、江戸時代を通してすぐれた茶器や日用の器を焼き続けました。窯の置かれた場所の地名から高田焼(こうだやき)の名でも親しまれています。

八代焼を代表する装飾技術に象嵌があります。八代焼の陶工、上野家(あがのけ)は朝鮮半島からの帰化陶工でした。そのため、朝鮮李朝(りちょう)の象嵌の影響を受けた作品が、その初期から焼かれています。

江戸時代の中期、18世紀の中頃には象嵌が特に発達、江戸時代の後期になると八代焼の象嵌は全国的に有名でした。

 
  象嵌牡丹文水指
(ぞうがんぼたんもんみずさし)
18世紀
象嵌雲鶴文丸皿
(ぞうがんうんかくもんまるさら)
19世紀初
解説シート(PDF)
八代焼(高田焼)とは
八代焼と象嵌
漆川内焼と霊符焼―ふたつの幻の焼き物

■八代焼―茶の器
八代焼は、今から約400年ころ前、加藤家が肥後・八代を治めていたころに始まったと考えられます。加藤家のあと、寛永9年(1632)に、豊前(福岡県)小倉から細川家が移ってくると、新しく八代城主となった細川三斎(ほそかわさんさい)のもとで、八代焼は新しい時代を迎えます。
 細川三斎は、わが国の茶道の大成者、千利休(せんのりきゅう)の最もすぐれた弟子の一人として有名でした。そのため、三斎の保護・指導を受けた八代焼では、伝統的に、美しい茶器が焼かれています。

象嵌紅葉散文茶入
(ぞうがんもみじちらしもんちゃいれ)
18世紀
袋形共蓋水指
(ふくろがたともぶたみずさし)
18世紀
解説シート(PDF)
八代焼―茶器の世界―
漆川内焼と霊符焼―ふたつの幻の焼き物

■八代焼―飲食の器
八代焼(高田焼)は、洗練された象嵌(ぞうがん)をほどこした茶器で有名な焼物です。しかし、そのはじまり(今から400年ほどむかし)の時代から、私たちが日常に用いる飲食の器も数多く焼いてきました。

 黒褐色の釉薬(ゆうやく)をかけたもの、象嵌をほどこしたもの、木の葉や貝といった様々な形をした作品が焼かれています。

象嵌寿字蘭文舟徳利
(ぞうがんじゅじらんもんふなどっくり)
18世紀末〜19世紀初
解説シート(PDF)
八代焼―様々な器
漆川内焼と霊符焼―ふたつの幻の焼き物

八代焼―江戸末〜近代(19世紀後半〜20世紀)の諸窯―
江戸時代から明治時代への過渡期は、社会が大きく変化した激動の時代でした。江戸時代、藩の御用窯(ごようがま) をつとめた八代焼は、藩の解消により、さまざまな保護・優遇を失い、自活の道を歩まねばならなくなります。 

各種の博覧会に出品して宣伝に努めつつ、新しい生活様式にあった器を作るなど生き残りの道を模索します。しかし、明治時代の末には、御用焼物師上野(あがの)三家のうち、日奈久に移った木戸(きど)上野家を除いて、窯の火は消えることになります。

象嵌藤花文四方茶碗振出
(ぞうがんとうかもんよほうちゃわん)
上野勝三作 近代(20世紀)
 江戸時代以来の伝統を持つ上野家の窯が苦難の道を歩んでいた時代、一方では、吉原窯、浜田窯、橋本窯、松岡窯など、明治から昭和にかけていくつかの新しい窯がおこり、消えてゆきました。


象嵌牡丹文茶碗
(ぞうがんぼたんもんちゃわん)
松岡道也作 近代(20世紀)
解説シート(PDF)
江戸末〜近代の八代焼(高田焼)
漆川内焼と霊符焼―ふたつの幻の焼き物


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